幼稚園の先生になるのが夢だったとお聞きしました。

小さい頃からそう思っていました。島で生まれ育ったのですが、みんなで秘密基地をつくったり、兄弟や近所の年下の小さい子たちと一緒に遊ぶのがとても好きだったので、「子どもたちと一緒に遊んでそれが仕事になるのなら最高やん!」と子どもながらに思っていて。

そこからずっと、めざす進路は変わらず、高校卒業後は、保育士や幼稚園教諭の資格が取れる専門学校に行きました。

子どもが好き、子どもと一緒にいたいという気持ちを超えて、もう「一緒にいることが当たり前」って感覚があるんです。「子どもたちと関わっていく仕事を死ぬまでやるぞ」という想いが一番の根っこにあって、それは昔も今もずっと変わっていないですね。

幼稚園は2か所働いたんですが、最初の職場は、自然豊かな環境の幼稚園でした。隣の山に登ったり、泥団子をつくったり、自然の中でのびのびと思いっきり遊べるような環境に惹かれて入職しました。2年そこで過ごしたあと、少し都会の幼稚園に転職。今度はそこで10年ほど働きました。

幼稚園時代はやらなきゃいけないことがたくさんあるので大変でしたが、最初の頃はとにかくガムシャラにとりくんでいました。ただ、幼稚園の先生の仕事自体はイヤになることはまったくなかったんです。やっぱり私が全てのことに「全力でやりたい!」って思っちゃうんですね。

例えば、お母さんたちに日頃の様子を伝える手紙を書くのも、伝えたいことが多くて「全部書きたい!」って思うし、例えば、子どもたちのお遊戯会の衣装づくりも、行事に向かって頑張っている子どもたちと一緒に頑張りたいから「素敵な衣装を作りたい!」って思ってしまうんです。

子どもにかかわる仕事が本当に天職なのかもしれないですね。

そうかもしれません。ただ、ちょうど2つ目の幼稚園で10年が経つ頃、だんだんと私自身の「保育力不足」を感じるようになったんです。

幼稚園で最後に担当したクラスに、いつも何をするにもギャーって泣いている2歳の男の子がいました。30名ほどのクラスの担任だったので、何か集団活動をするたびにその子を集団に入れようとするんですが、そのたびにギャーって泣いてしまって。補助の先生に手伝ってもらって、なんとかクラスの活動を進めていました。

全体を引っ張る担任の私でしたが、あるとき、補助の先生にクラスを任せて、思いきって私はその子ひとりについて、二人っきりで時間を過ごしてみることにしました。その子がどんな気持ちでいるのか、その子が今どこに困っているのか、何が好きなのか、そういうことを考えながら一緒に時間を過ごしたんですが、そのときに今まで見たこともない本当に素敵な笑顔を見せてくれて。

晴れた青空の下、その子と二人並んで座って、空を見上げながら「これは~~やね」「~~したら楽しいね」っておしゃべりしながら、本当に二人でゆっくりとした時間を過ごしました。その時間を通して、心が通った感覚、今ちゃんとこの子を見ているんだ、つながってる、一緒にいると伝わってくる感覚があって。胸が熱くなったのを覚えています。

「大人側に子どもを合わせる保育をやっている自分って、全然保育力が足りてないんじゃないか」って、そのとき思ったんです。そこから、障害がある子、自分の困り感をどうしようもなくて立ち止まっている子、そういう子たちの勉強をしたいと思うようになりました。

その頃はまだ「療育」という言葉も知らなかったのですが、調べていくうちに、児童発達支援や放課後等デイサービスというものがあると知り、まずは通える範囲の事業所いくつか見学に行きました。そのうちの一つがunicoだったんです。

いくつか見学した中から、unicoを選んだのですね。

私が見学した「unico古賀」は開設してすぐだったのもあり、本部長の濱田さんに直接見学案内してもらったのですが、相談室に案内されて、unicoの理念や支援について聞かせてもらったんです。

その内容ももちろん素敵だったのですが、説明を受けている最中に、小学1年生くらいの男の子が一人、急に戸を開けて相談室に入ってきたんですね。「濱田先生ー!聞いてよー!」って。

そしたら濱田さん、「あーそうなんやね~」って、その子とふつうにしゃべり始めたんです。一通りその子の話を聞いたあとに「うん、わかった。じゃあちょっと待っておいて。今お話しているから、それが終わったら話そう」って。

ともすれば大人って、お客さんと話しているときに子どもが入ってきたら「今は入っちゃダメでしょ!」とか言って追い出しちゃうじゃないですか。でも濱田さんはそうじゃなくて、その子の話をしっかり受け取って、そのうえで「ちょっと待ってね」とちゃんとこちらの気持ちも伝えていたんです。それがとっても自然なやりとりで。

大人が教えるでも、大人が決めた「~すべき」に子どもを合わせるでもなく、本当に自然に、対等に子どもたちと関わっているのが感じられました。「そうよね!これやん!やりたい!」って私もすごく共感して、もうその様子を見た瞬間にunicoに入社を決めましたね。

実際に入ってみてどうでしたか?

unicoでは、私が今までに大事にしてきたこと、これから大事にしていきたいと思っていることがしっかりと言語化されていて「自分が進む道がさらにはっきりした」感覚がありました。

例えば、すぐにカッとなって手が出てしまう小学5年生の男の子がいるのですが、その子が別の子のおもちゃがほしくて怒っているときに、ついつい大人って、その「怪我したら大変」「すぐに止めないと」「怒らせたままじゃいけない」って考えがちだと思うんです。でも私は、その子の気持ちをもっとわかりたい。もっと言えば「怒ることでおもちゃを欲しいのを伝えているんだな。面白いな~」って思うんです。その子なりの表現が面白いし、何よりその子を本当にかわいいなって。そういうことを大事にしたいって思っていて。

そういうどんな子どもたちも「おなじ」大切な存在としてそのものを認めること、その子の言動をその子の「ちがい」として面白いって思える感覚。unicoのスタンス「みんないい」はまさに私のその感覚が言語化されたもののように感じています。

「みんないい」のスタンスが持てているチームで話していると、例えば朝礼や会議で支援を振り返ったときに、一人一人子どもたちの”ちがい”も”おなじ”も大切に受け止めたうえで話すから、同じエピソードやシーンを話すのであっても、どこか温かい雰囲気になるんですよね。

チームの雰囲気は支援にも影響がありそうですね。

さっき話した子を例に出すと、やっぱりすぐカッとなって周りを威嚇したりするので、ふつうだったらその子は悪い子にされて、周りの子どもたちもどうしてもその子を避けたり除け者にしたりすると思うんですよ。でも、私たち大人が「みんないい」でいられてると、その子が悪いなんて全然思わなくなるんです。そういう大人の雰囲気、大人がその子をどんなふうに考えているのかって、自然と子どもたちに伝わるんですよね。

「怒ってそういうイヤな言い方しちゃダメでしょ?」みたいな、大人が良い悪いを決めるようなことを私たちは言いません。「どうやったら伝わるんだろうね」「うまく伝わったかな?」「もうちょっと話し合ってみようか」って、子どもたち自身で解決できることを当たり前のように信じて関わるんです。そうすると、自然とその子も周りの子も、みんなで考えて関わり始めるんですよね。

そんなふうにunicoで長い時間を共に過ごしていると、子どもたちも自然と「みんないい」になってきます。ちょうど先日、そのカッとなりやすい子が企画して準備して進行までするのワークショップがあったのですが、とっても大盛り上がりで、みんなめちゃくちゃ楽しそうだったんですよ。

「あの子はいつもイヤな感じだから関わらないでおこう」みたいな特定の人を仲間外れにする雰囲気は、ともすれば学校や私たち大人でもよく見かける光景だと思うのですが、それがunicoには全然ありません。その子は今もまだすぐにカッとなって他の子に当たったりおもちゃを奪ったりはするんですが、子どもたちはみんな、その子のその部分だけを見て判断していないんですよね。

そのワークショップの日は、子どもたちも大人も全員が「みんないい」のスタンスを日頃から大事にしているからこそ現れる姿、雰囲気だったんだなって思います。どういう声かけをするか、どんな活動をするか、そういうことももちろん大事なんですが、私たち大人から「みんないい」を感じられる雰囲気をどうつくっていくのかもすごく大事にしています。

そういうチームをつくるために大切にしていることはありますか?

大人同士でも「みんないい」のスタンスをもって接することかなと思います。チームの仲間で「素敵だな」と思ったエピソードは本人にしっかり伝えたり、チームでも共有したり。基本的に子どもたちとかかわるのと変わらないかもしれないですね。めっちゃいいな!って思ったときはちゃんと伝える、伝えたい!って思ったときに伝えることは、すごく大事なことかなって思っています。

もちろん、イヤなことがあれば「イヤだったよ」とはっきり伝えます。とても簡単なことのように思えて、これがなかなか大人が相手になってくると難しい。

そのためにも、まずは「私が”みんないい”をどんなときも忘れない自分でありたい、大人ともしっかりと向き合って伝えていける自分でありたい」と思っています。そうして、unicoの仲間みんなに”みんないい”をもっと広げていきたい、それが沢山の子どもたちにunicoを届けていく最短・最強の方法だと思ってます。働くスタッフもunicoを自慢したくなる、そんな場所にしていきたいと思っています。

これからどんな人と一緒に働きたいと思いますか?

「子どもたちの可能性を解放する」と掲げているからには、私たちスタッフ自身が、まずは「解放された大人」である必要があると思っています。「人のために」動くことに自分の幸せを感じられる方。「私はこんなふうでありたい」という志が太く、unicoの理念と重なっている方。自分で自分の進む道を決めて、これから学んでいきたい、成長していきたい、と思っている方。

そういった方とぜひ一緒に、解放された大人を共に増やしながら、お互いに向き合ってつながりながら、もっと多くの子どもたちの可能性を解放していけたら嬉しいです。

▼プロフィール

田中 智代(たなか ともよ) 保育士・幼稚園教諭・児童発達支援管理責任者。
2019年5月入社。開設直後の「児童発達支援・放課後等デイサービスunico古賀」に配属し、当初はパートスタッフとして勤務。産休を経て正社員として登用され、その後「unico古賀」教室長に就任。その翌年には全教室を統括する「教室グループ責任者」に昇格、現任。また「unicoメソッド」を体現している人が認定される「unicoマイスター」の称号も取得。
好きなものはバレーボール、歌、音楽、絵本。大好きなのはお酒を飲んで熱く語ること。

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