乾いた冬の朝早く、少しまた冷たい空気に、窓から差し込む陽光が暖かい相談室。そんな爽やかな空間にぴったりのハツラツとした声と満開の笑顔で語ってくださったのは、「放課後等デイサービスunico志免」の大澤むつ子さん。
実は大澤さん、この取材の翌月には教室長とunicoマイスターへの就任が決まり、新たな挑戦の真っ最中です。児童福祉のベテランながら次々と謙虚に挑戦し続ける大澤さんに、その原点や子どもたちへの想いをお聞きしました。

unicoに入社前はどんなことをしていたのですか?

もともと岩手県出身で、県外の福祉系の大学に進学し、最初は精神病院で働きました。ただどうしても一度一般企業を経験したいと思ってコンサルティング企業に転職。ただ、そこの社長がお世話焼きの父親みたいないい方で「たぶん君のやりたいことはここじゃないだろう?」と言われて(笑)。そこから改めて児童福祉の道に進もうと決めました。

次の職場は、脳性麻痺のお子さんのご家庭でした。トレーナーとして、寝食を共にしながら支援をするんです。それが楽しくて楽しくて。ただ、そこで見れるのはその子ひとりだけ。もっと多くのいろいろな子どもたちを見たいと思い、知的障害のお子さんの通園施設に移りました。

そこで、今も心の師匠と思っている心理の先生に、療育の”いろは”を叩きこまれました。もっと学びたい!ってどんどんのめり込んでいって、いろんな勉強会に参加しては日々学んでいました。もうマニアみたいでしたね(笑)

その後、結婚を機に福岡に移住して、子どもを授かりました。

ずっと児童福祉の分野に熱中していたんですね。

初めて母親になったことでも学びがありました。昔先輩に言われた「あなたは子どもを”まるく”捉えなきゃ。人間”まるく”ならないとね」という言葉の意味がやっとわかった気がしたんです。当時の私はよくわかっていなくて「きっと何か足りないんだろうな」くらいに受け止めていて。

今の私なりに解釈すると「大人側が温度感が高く”させてあげたい”という気持ちなだけでは、療育のバランス的によくないよ」「やさしく、一歩引いて、ありのまま受け止めることも大事だよ」という意味なのかなと思います。

子どもって、自分の思い通りにはいかないじゃないですか。それにいちいちイライラしても仕方ないし、疲れてしまう。だからもっと力を抜かなきゃって。子育てを通して、自分が少しずつ変わっていった気がします。

その後、子どもが大きくなってきたので、まずはパートから復帰しようと思って、別の児童発達支援で働き始めました。

久しぶりに療育の現場に復帰されて、いかがでしたか?

療育には色々な手法があるので、また一つ療育を深める学びの時期となりました。そして、私自身の子育ても落ち着いてきた時期に再びチャレンジしたい!と思うようになり、次のチャレンジの場は「カリキュラム」よりも「自分でやりたいも、やりたくないも選べるような自発性を大切にする療育環境」で働きたいと考えました。

それで転職を考え始めたときに、unicoのインスタグラムを見つけました。ブンネという北欧楽器で子どもたちが演奏していたり、風船を部屋中にめいいっぱい広げて遊んでいたり、とにかく楽しそうな写真がたくさんありました。そういう感覚的に見て「やってみたい!」と思えるような環境設計をしている事業所ってどんなところだろう?と興味を持ったんです。

「自発性を大切にする療育」を探していたんですね。

本部長の濱田さんとの選考面談を通して、その理念に共感しました。unicoでは、例えば「お話が上手になりました」「縄跳びができました」みたいな「何ができた」だけではなく、たくましさとか、自分で問題解決する力とか、もっと心・内面的なところにフォーカスした支援をしていることが面白いなって。

もちろん、いろんな事業所や教育の場でも、自己肯定感とか、内面的なところを重視する話はよく耳にします。でもそれってすぐに効果が出るものではないので、なかなか本気で取り組んでいるところは少ない。unicoはそれを本気でやろうとしている姿勢を感じました。

ただ内定を承諾するかは悩んだんです。内定オファーを受けた配属が放課後等デイサービスだったので、児童発達支援希望だった私は少し迷ってしまって。最終的には「初めての学童期の子どもたちの支援をやってみたほうが、私の新しいチャレンジになるかもしれない」って思い至って、unicoに入社を決めました。

実際に入ってみてどうでしたか?

unicoの理念には共感していましたが「unicoメソッド」には、正直最初は抵抗感がありました。今まで私が学んできた療育とのギャップもありましたし、今となっては誤解なのですが「なんだかもっとキッチリしようとしてるのかな?」と思ってしまったんです。

「まずは何か小さなできそうなところからやってみよう」と思って、「Iメッセージ」から取り組んでみることにしました。主語を「あなたは(you)」ではなく、「私は(I)」にして伝えるようにすることで、相手を評価するのではなく自分の感情を受け取ってもらう伝え方です。

すると、明らかに子どもたちの反応が違いました。以前よりもこちらの話を聞いてくれている気がするんです。手応えを感じた私は「他の関わり方はどんなものだろう?」と思ってどんどんメソッドを深めていきました。

そういう新しい考えや変化を受け入れることに「こわい」とは感じませんか?

私も変化や新しいことにはすぐに臆病になります。でも、一定期間、臆病な時間を過ごしてしまったら、最後には「よし行こう!」って思うことが多いんです。

仕事って楽しくするのもつまらなくするのも自分次第。新しいことをいきなり全部はできないかもしれないけど、一個ずつやって楽しんだほうがお得ですよね。

そんな大澤さんと過ごすなかで、子どもたちにも影響がありそうです。

子どもたちは自然に成長していきますね。unicoで働いて3年が経ちましたが、子ども達の日々の変化が本当に嬉しいしやりがいになっています。たとえば、つい最近まで気持ちを伝えることが苦手で、癇癪や暴言でイライラした気持ちを表出していた子が、先日イライラを大爆発させたことがあったんです。

私はただ彼の傍で気持ちを受け止めながら、話を聴いていたんですが…帰り際、その子が他の職員に「大澤先生に”ごめん、ありがとう”って伝えといて」と言って帰っていったというのを後から教えてもらいました。

彼にはunicoでの時間を楽しんでもらいたい一心で、本当に体当たりで一緒に過ごしてきたけど、知らない間に心も体も成長していて…その日はその子の成長のワンシーズンを観れた気がして、涙がでるほど嬉しくって。

そんなエピソードを、その子のお母さんやチームのみんなと共有して共に喜び合えるのも、何より幸せな時間です。日々の一つ一つの積み重ねが、そういう子どもたちの成長につながっていると思うと、また明日も頑張ろうって思えるんです。

これからはどんなことをしたいですか?

最近の支援のキーワードは「”大人が育てる”を手放す」。このテーマで、療育の精度をどんどん上げて、支援をアップデートしていきたいです。同時に、これからはスタッフ同士の育ち合いや、チームワークを高めることにも挑戦したい。療育とチームワークを高めること、両方をやっていきたいです。

そのためにも、これからどんな人と一緒に働きたいですか?

子どもが好きな人、人とかかわることが好きな人、そんな人と一緒に働きたいと思います。でも「よく見せよう」とか「できる自分に見せよう」とかではなく、ぜひありのままの自分で来てほしい。「みんないい」という価値観が浸透している組織だと思うので、スタッフみんな、ありのままのあなたを受け止めてくれるはずです。そのうえで、自分のやりたいことをunicoで見つけて、実現してくれたらいいなと思っています。

▼プロフィール

大澤 むつ子(おおさわ むつ子) 。保育士・児童発達支援管理責任者。
2020年4月入社。「放課後等デイサービスunico志免」配属。未就学児童の療育を10年以上経験。2023年1月からは志免教室の「教室長」に就任。「unicoメソッド」を体現している人が認定される「unicoマイスター」の称号も取得。
好きなものはモノづくりとペットのシマリス。趣味は健康・美容の情報収集。

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